新型コロナウイルスワクチン接種券が来た

 私のところにも65歳以上を対象とする新型コロナウイルスワクチン接種券が京都市から郵送されてきた。ではすぐに接種できるのかといえば、それはまだで、未定。同封されていたチラシには「後日、京都市から順次、〈予約開始のお知らせ〉をお届けします。予約方法や接種場所等の詳細は、〈予約開始のお知らせ〉で御案内しますので、しばらくお待ちください」とある。
 これで行くと、次に予約開始のお知らせが来て予約し、予約してから接種を受けることになる。つまり、接種券を受け取る(今回)、予約する、接種を受ける、という3段階の手続きを経ることになる。予約と接種の2段階はまだしも理解できるが(これもそうでないほうがいいのだけれど)、よく分からないのは、予約も接種実施も未確定の今、なぜ接種券だけ先行して送付するのかという点である。こんな二重に手間をかけることに意味があるのだろうか。予約開始に合わせて接種券を送付すればよいのではないか。ひょっとして、老人たちを少しでも早く安心させたいという配慮からか!? 私なんかはむしろ、予約のお知らせが来た時点で接種券を失っている年寄りもいて、混乱を招くことになりはしないかと心配になる。チラシにはさらに、「京都市LINE公式アカウントに友だち登録すると…最新のコロナに関する情報を受け取れて便利!」だから、ぜひ友だち登録をしてねというおすすめも書かれている。でも、65歳以上の年寄りでLINEを使いこなす人ってどれくらいいるのか。ちなみに私は使いこなしていない。LINEがどのようなものであるかもよく分かっていないけれど、それでいいと思っている。興味関心(あるいは利害)を同じくする人たちとサークルを作って、文字とスタンプで気軽にコミュニケーションをとるのも面白いかもしれないし、それに電話も無料でかけられ、さらにお互いの顔を見ながらの通信も可能であるらしいが(以上が私のLINE理解で、多分でたらめ)、メールで文字を打てて、写真を同封できれば、それで十分である。という私の気持ちに共感する老人は多いはず。まさか、予約はWEBで、なんてことにはならないと思うが。
 簡素さを欠いた手続きや焦点のぼけた案内が、政府首脳が最近よく口にする「国民に寄り添った」「機動性を持った」コロナ対応なのかと疑問に思う。地方自治体としては一所懸命に取り組んでいるのだろうけれど、何かちぐはぐである。もちろん、一番問題なのはワクチン確保(自力でのワクチン開発ができなかったことについては今さら何か言う気もしないが)において日本政府が後手に回り、その結果として4月22日時点での既接種者が2%にとどまり、OECD加盟37ヵ国中最下位であるという惨状である。今日から東京、大阪、京都、兵庫で「緊急事態宣言」が発令される。これで3回目。一定の効果は見込まれるであろうが、コロナ収束は期待薄。感染者数や重症者数、病床の逼迫度合いが一定の水準にまで減少すれば宣言を解除することになるのだろうが、それでいいのか。そうこうするうちにワクチン接種も行き渡るのでなんとかなるのではないかと、その程度の期待で為政者は動いているのではないか。科学的な施策と明瞭なメッセージが欠けていて、とにかく心もとない。国民は自粛お願いされ疲れ状態である。誰がやったって同じようのものだから政府を批判しても仕方ないという考えの人もいるだろうが、そんな政府免罪論はやはりだめだと思う。もっと政府の尻を叩こう。