なんで、私が新潟に

 GW明けの人出も少ない頃を見はからって新潟へ出かけた。2泊3日。新潟に親戚があるわけでもなく、知人友人がいるわけでもない。お参りしたい墓があるわけでもなく、ぜひ見たい場所があるわけでもない。じゃ、なぜ出かけたかというと、JALカード(クレジットカード)でたまったマイレージ(ポイント)が活用できたから、というだけのことである。このカード、3年前の夏に競馬をしに函館まで出かけた折、空港の待合室で勧誘されて加入した。その時は、母親が亡くなって半年後で、介護からも解放され、これからは好きな時に好きな場所に出かけられるという気持ちが強く、飛行機に乗る機会も増えそう、それならJALカードというのも利点があるかなと思って加入した。しかし、じっさいは、飛行機に乗る機会はなかった。老人仕様の体へと退化しつつある身体で海外へ出かける勇気はない。楽しさよりも精神的負担のほうが大きい旅はいや。国内なら体調を整えて何とか出かけてみるかという程度の移動意欲なら残っている。北海道なら競馬と物見遊山を兼ねて年に1、2度は行くつもりはあるのだが、コロナで競馬場の観客制限もあり、3年前の夏以降、北海道にもご無沙汰。この3年くらいで行った所といえば、北から東の方面では角館、平泉、会津若松、横浜、八ヶ岳、松本、西方面では門司、下関、秋吉台、角島、松江、大歩危小歩危、鳴門、といったあたり。いずれも飛行機には縁のない場所か必要のない場所である。そんな私にとってJALカードの利点はないし、年会費2000円も不必要な出費である。というわけで、他にクレジットカードは、自動的に引き落とし額の1%を割り引いてくれるのを持っているので、もっぱらそちらを使うことにして、JALカードは解約することにした。その前に、たまっているポイントを使おうと調べてみたら6000ポイント少々あった。これで引き換えられる商品はじつに貧弱なものしかない。そう思いながらさらにJALのサイトを見ていると「どこかにマイル」というのを見つけた。これは、6000ポイントで往復のフライトができるというもので、発着空港(同一に限る)と日時を指定すると、行先として可能性のある空港が示され、そのどこでもよければ、おまかせで申し込むというのである。伊丹発着5月8日発10日着で調べると、新千歳、青森、新潟、長崎の4つが出てきたので申し込んだ。すると予想通り(空席の一番多そうな)新潟が指名された。それで新潟へ出かけた。一切の予備知識なしのゆきあたりばったり。

 新潟は酒飲みにとても親切な県。おいしい酒があるよ、たくさん呑みなさい、と歓迎してくれる。空港の観光案内所でもらったパンフのなかには酒蔵マップもあって、県内のあちこちの酒蔵で見学可能なところが紹介されている。しかし、日程上遠くまで足を延ばす暇はないので今回は市の中心地での飲み食いに限定して楽しむこととする。といっても四六時中酒というわけにはいかないので、穴埋めが必要。丸一日使える9日は月曜日でほぼすべての史跡関係物件と博物館は閉館していた。元々目的もないのだから残念でも何でもない。とりあえず午前中は「新潟市水族館マリンピア日本海」に行ってみた。

クラゲの水槽。クラゲって意外ときれい。

日本海大水槽。エイの泳ぐ姿はなかなか優美。

トド。雄と雌。雄は1トンにもなるそうな。

餌やりタイム。ここには雄が1匹、雌が2匹、飼育されているのだが、餌に関心を示したのは雌の一匹だけ。

あとの雄と雌(上に写っている水槽のと同じ個体)はこちらが大事。ちょうど繁殖期だとか。

ゴマフアザラシの餌やりタイム。

イルカショー。やたらにジャンプばかりさせるのではなく、イルカの体の特徴などをちゃんと説明したりして、落ち着いたショーになっている。

水族館の入場料は大人1500円。敷地にもゆとりがあり、いい水族館である。月曜日の午前中にどれだけのお客さんが来ているのかと思ったが、イルカショーには100人はいた。子供連れが6割ぐらいで、あとは若者たち。年寄りも皆無ではなく、私の他に7,8人はいた。

水族館の近くに護国神社があり、その敷地か地続きかよく分からないが、林があって、そこに坂口安吾の碑と砂山(北原白秋)の碑が立っていた。

午後は街中を散策。

柳都橋から見た朱鷺メッセの高層部分。この31階が展望室になっている。

その展望室から見た信濃川の河口。やっぱり信濃川は大きいと実感。

同じく、市街地の眺望。6つのゆるやかなアーチを持つ橋は萬代橋

展望室の正式名称は「Befcoばかうけ展望室」という変な名前。Befcoは新潟にあるお菓子屋さんのブランド名で、ここが名称権を持っており、ばかうけはその代表的なおせんべいらしい。展望室に上がるのは無料。最後に萬代橋の写真。

帰路の伊丹への飛行機はがらすき。10名ぐらい。行きは半分くらい詰まっていたが。