久しぶりに淀で菊花賞

 私が初めて競馬の馬券を買ったのは1987年の菊花賞。それより以前、学生時代に京都競馬場でアルバイトをしていて、馬が走る姿を見てきれいだと思ったことがある。しかし、競馬そのものに興味はなかった。当時はまだ学生が馬券を買うのは法律で禁止されていたし、たとえ買えたとしても生活費を得るためのアルバイトで得た金をギャンブルに使うはずがなかった。それから20年ほど経ったある朝、新聞(スポーツ紙でなく一般紙)でふと菊花賞の前売りオッズが目にとまり、眺めていたら、こう買えば当たるのではないかという組み合わせが頭に浮かんだ。出走する馬の知識は一切なく、数字だけを見てそう思ったのである。淀まで出かけ、長い列に並んで馬券を2万円購入した。初めてにしては大枚をはたいたものだが、なにしろ当たるという気がしていたのである。レースは見ないで家に帰ってラジオ中継に耳を傾けた。当たった。当時はまだ馬連などはなく単勝複勝、連勝複式(現在の枠連)だけであったと思う。5000円買っていた連勝複式17.4倍があたり8万7千円が戻って来た。このビギナーズラックに騙されてそれから今まで私は競馬と付き合っている。しかも、菊花賞が私にとって特別のレースとなり、これだけは毎年淀に出かけて現場で見ないと気がすまない。ほとんど毎年京都競馬場へ足を運んできた。
 京都競馬場の大改装のため一昨年昨年と菊花賞阪神競馬場で行われた。最近ではしんどくて阪神まで出かけることはない。それにコロナで無観客とかもあって、菊花賞観戦のチャンスはなかった。今年は3年ぶりに京都に戻って来るというので昨日出かけた。4月に新装オープンした京都競馬場もまだ見ていないし、そちらも興味があった。 

☟新しいスタンドのパドック

☟以前のパドック跡。右手の方に新しいパドック

☟新しいパドック。私は前の円形パドックが好きなのだけれど、今度のは他の競馬場
と同じ楕円形。

菊花賞パドックでよく見えたのが12番ハーツコンチェルト(上の写真で左から3番目の馬)。前哨戦の神戸新聞杯は5着ながら、1着のサトノグランツ(今回3番人気)とは0.1秒差。ハーツクライ産駒で長距離血統。距離が2400メートルから3000メートルに延びるのはプラス条件のはず。調教では「馬体を弾ませ」という◎評価。5番人気で単勝9.3倍。これを狙わない手はない。私の選択は極めて合理的なものだと思う。しかし合理性が通用しないのもギャンブル(それでも私は合理性を無視して賭けようとは思わないが)。結果は6着。勝ったのは4番人気のドゥレッツアで単勝7.3倍。

☟最終レースが終わっても混雑は続いているので、人が少なくなるまで少し時間をつぶそうと、昔の京阪淀駅があった所まで行ってみた。下の写真がその駅のあった跡。高架になった京阪電車が上を走るだけの場所で何もない。右手の淀城跡は昔のままである。

京阪電車中書島で降りて、伏見の街を歩いてみた。久しぶりで懐かしい。たそがれて来て、ちょうど橋の袂の灯りがともるころ。この橋を渡ると竜馬通りの商店街。渡って左に折れればすぐ寺田屋

 桃山御陵前から近鉄線で京都駅まで出て、久々の外食を楽しもうと思ったところ、京都駅にくっついている食堂街はえらい混雑。皆さん、店の前に行列を作って待っている。駅からちょっと離れた細い通りに、ふぐ、かに、はも料理を看板にした店を見つけ、大好きな鱧のコース料理とお酒ではずれ馬券に乾杯。ちょっとした旅行気分を味わった。一日を振り返って気になったのははずれ馬券ではなく、今日の入場料が普段の200円でなく、500円であったこと。今まで特定のGⅠの日に入場料を値上げするなんてことはなかった。セコイじゃないかJRA。それにもうひとつ、新装なったスタンドの屋外席が有料化されたこと。ガメツイぞJRA。と、この点は文句を言いたい。