日吉大社山王祭

日吉大社の山王祭は神輿が活躍する祭としてとてもおもしろい。 ☟2024年三王祭のポスター ☟午の神事は明るいうちから準備が始まる(4月12日) ☟八王子山にある奥宮。ここには3月に2基の神輿が上げられており、それがこの夜、麓の東本宮までかつぎおろされる。…

ChatGPTでレポートを書いてみた!

今回は前回「ChatGPT事始め」の続きとして、学生がChatGPTなどの生成AIにレポート(リポート)を書かせるという問題を考えてみたい。 文科省に言われるまでもなくこの問題には各大学とも頭を悩ましているようで、それなりの対策も模索されている。京都大の湊…

ChatGPT事始め

数日前に、〈大学生、AI丸写ししリポート提出も・・・教授「試験のあり方自体変えなければ〉という見出しのついた読売新聞のネット記事を見かけた。おおむね以下のような内容である。 全国大学生協連の調査によると、チャットGPTなどの生成AI(人工知…

野次馬的考古学

明智光秀の坂本城は本丸の石垣と考えられる物のごく一部が琵琶湖の水位が下がったときに姿を現すだけで、その実態がつかめず、幻の城とか何とか言われてきた。本ブログでも以前にその石垣の写真を載せたことがある(2021.11.15)。この秋冬もまた水位が下が…

工藤直子さんの詩

半年前に『工藤直子全詩集』が出た。30年か40年か昔に読んだ『てつがくのライオン』はとてもおもしろかった。でも、その本は誰かに読めと勧めて貸したかして行方不明。今、私の手元にはハルキ文庫版の『工藤直子詩集』があり、時々読む。今回出た『全詩集』…

2023年に私の見た紅葉

万葉集には秋をうたった歌がたくさんある。次の一首もそのひとつ。一年〔ひととせ〕にふたたび行かぬ秋山を情〔こころ〕に飽かず過〔すぐ〕しつるかも 万葉集2218*最初私はこの歌の意味を「一年に一度しか訪れることのない秋の紅葉した山を見ていると飽きる…

比叡山と延暦寺散策

比叡山に初めて登ったのは小学校4年か5年の夏休み。叔父に連れて行ってもらい、京都の出町柳から叡山電車で八瀬まで、そこからケーブルカーとロープウェイを乗り継いで山頂まで。その後何回か登ったことがあるが、下から上まで徒歩でというのは大学の陸上部…

「泡鳴五部作」(その2)

前回の「泡鳴五部作」(その1)では1作目『發展』2作目『毒藥を飲む女』を取り上げた。今回はその続きとして3作目『放浪』4作目『斷橋』5作目『憑き物』を取り上げる。 『毒藥を飲む女』は田村義雄が上野駅を出て樺太へ向かうところで終わった。そして『放浪…

久しぶりに淀で菊花賞

私が初めて競馬の馬券を買ったのは1987年の菊花賞。それより以前、学生時代に京都競馬場でアルバイトをしていて、馬が走る姿を見てきれいだと思ったことがある。しかし、競馬そのものに興味はなかった。当時はまだ学生が馬券を買うのは法律で禁止されていた…

「泡鳴五部作」(その1)

岩野泡鳴といえば自然主義を代表する作家の一人。しかし、昨今では自然主義の小説を読む人は少なかろうし、泡鳴など明治文学の研究者か愛好者か、あるいはよほどの暇人でもなければ読まないのではないか。暇人である私は読んでみた。本棚を眺めていたら「泡…

夏の詩歌

酷暑がなかなか終わってくれない。手元にある詩集や歌集をパラパラめくりながら、夏の暑さを罵倒したり呪ったりした作品ってあるのだろうか探してみたが、見つからない。もともと、冬や秋に比べると夏をテーマやモチーフにした詩歌は少ない。それに、暑くて…

レマルク『西部戦線異状なし』

レマルク(1939年) エーリヒ・マリーア・レマルク(1898-1970)の小説『西部戦線異状なし』は1928年に新聞に連載され、翌29年に単行本として出版された。右翼からはドイツの前線兵士たちの思い出を汚すものであるという批判、左翼からは戦争の原因が追究さ…

夏目漱石『明暗』:先を超される男、津田

夏目漱石『明暗』は新聞連載途中で漱石の死によって中断され、未完に終わった小説である。連載188回まで書かれたのだが、そのあと何回まで続いてどういう経過をたどり、どういう結末を迎えることになるのかは誰にも分からないままに残された。 小説冒頭で主…

大津、湖西浄化センターのバラ

大津の住まいの近くに滋賀県湖南中部流域下水道事務所湖西浄化センターという長ったらしい名前の下水処理場がある。ここにはバラ園があって、結構有名らしい。年に2回、5月と10月にそれぞれ12日間ずつ一般公開され、今年の5月は17日から28日まで。先日自転車…

あと何回の晩餐?

3週間ほど前のこと。関ケ原の古戦場でもぶらついてみようかとJRで出かけたところ、家を出る時は何もなかったのに途中、電車内で気分が悪くなりだした。最初は、これでは予定していたレンタサイクルでの散策は無理なようだから景色を眺めるだけにし、昼御飯で…

一乗谷朝倉氏遺跡

桜を見に福井へ。目的地は一乗谷の朝倉氏遺跡。3年前の桜の季節に初めて訪れて、とてもいい所だと思った。いちおうは観光スポットではあるが、とてものんびりできる。昨年の10月には一乗谷朝倉氏遺跡博物館もオープンし、これも見る価値がありそう。3年前に…

小浜で考えた北陸新幹線敦賀からの延伸問題

10日ほど前、青春18切符を使って敦賀、小浜を歩いてきた。湖西線の比叡山坂本から敦賀までの電車は予想していたのとは違ってかなりの混み具合。座席はほぼ詰まっている。大きめのキャリーバッグなど持った人もちらほらいて、日帰りではなさそうである。目的…

若きウェルテルは何を悩んだのか?

一番有名なドイツの文学者といえばゲーテだろうし、そのゲーテの一番有名な作品といえば『若きウェルテルの悩み』か『ファウスト』のどっちかだろう。でもこれらを読んだことのある日本人はどのくらいいるのだろうか。正宗白鳥が次のように書いたのは1904年…

2022年バイロイトの『神々の黄昏』

近頃ご無沙汰気味のクラシック音楽を聴こうかという気になって、年末から年始にかけ、NHKオンデマンドの「プレミアムシアター」で過去の番組を興味のおもむくままに見てみた。そのなかにバレーがいくつかあり、これがなかなか楽しい。ベートーベンの『第9』…

もみじ三昧

2年前の秋に馬篭妻籠へ旅行したときのこと。馬篭でハイキングをしていた地元の人と立ち話をしていて、京都から来たと言ったら、京都にはいっぱい見る所があるのに何をわざわざここまで来るの、と不思議がられた。でも、広々した山の眺めは京都の景色とは違い…

樋口一葉『たけくらべ』

樋口一葉は21篇の小説を書いた。筑摩書房『樋口一葉全集』には小説として22篇が収められているが、そのうち『裏紫』は未完なので、完成したものとしては21篇ということになる。『たけくらべ』『にごりえ』『大つごもり』はこれまでに読んだことがあるが、今…

清沢洌『暗黒日記』

何年も前、NHKラジオ「朗読の時間」だったかで清沢洌〔きよし〕の評論が取り上げられていた。その時初めて清沢洌という人のことを知り、興味が湧き、岩波文庫で『暗黒日記』と『清沢洌評論集』を買い求めた。他にも読みたい本があって、この2冊にはなかなか…

Windows8.1がサポート終了だとか

先日、パソコン画面に突然、次のようなメッセージが現れた。「このバージョンのWindowsはサポート終了に近づいています。2023年1月10日はMicrosoftがWindows8.1を実行するPCのセキュリティ更新プログラムと技術サポートを提供する最後の日です。私たちは今、…

『赤と黒』(2)、レナール夫人の「正しい」不倫

『赤と黒』は大きく第1部と第2部からなり、第1部ではフランスの架空の町ヴェリエールを舞台に、ジュリアン・ソレルと、この町の町長レナール氏の妻との恋が語られる。小説全体を通じての主人公はジュリアン・ソレルなのだが、第1部においてはレナール夫人の…

19世紀フランス小説を読みながら考えた安倍元首相国葬問題

小説を読んでいると、本筋とはあまり関係がなく、従ってあまり重要でないくせに素通りすることができず、立ち止まって考え込んでしまう箇所に出くわすことがときとしてある。読書時点の現実世界で問題になっている事柄に触れるような箇所が小説世界からひょ…

[『赤と黒』(1)、ジュリアン・ソレルの「父親たち」

ずっと昔、大学でフランス語の授業を受けていたときのこと。先生が脱線して話題はいつしかスタンダール『赤と黒』へと流れていった。その時に小説そのものについてどんなことが話されたかは忘れたが、『赤と黒』を専門に研究する「『赤と黒』屋さん」が最近…

上御霊神社祭礼2022

昨日5月18日は、京都、上御霊神社の祭礼の日。3年ぶりに神輿が出るというので京都まで見に帰った。以下はその写真。 加茂街道で。3時半ごろ。ほんとうは神輿を担いで「エライヤッチャ、エライヤッチャ」とやっているのを撮れたらよかったのだが、そのタイミ…

なんで、私が新潟に

GW明けの人出も少ない頃を見はからって新潟へ出かけた。2泊3日。新潟に親戚があるわけでもなく、知人友人がいるわけでもない。お参りしたい墓があるわけでもなく、ぜひ見たい場所があるわけでもない。じゃ、なぜ出かけたかというと、JALカード(クレジット…

車谷長吉

車谷長吉という小説家に興味を覚えたのは2015年、彼が亡くなったときのことである。死亡記事のなかで、彼が朝日新聞の人生相談「悩みのるつぼ」で出した答えが紹介されていて、それがちょっと普通ではなく、この人はおもしろい人だなと思った。同時に、恐ろ…

カミュ『ペスト』

最近、アルベール・カミュ『ペスト』がよく読まれているらしい。2年前の話だが、新潮社文庫版の翻訳は2020年2月中旬に4千部を増刷し、さらに1万部の増刷を決めたとか。同社の広報担当者は「タイミングからみて、新型コロナウイルスの影響としか思えない。全…